撮影した写真(特に絞り込んで撮影した時の背景や空)の明るくてフラットな部分に「謎の影」が写り込んでいることはありませんか? レンズの表面をいくら拭いても、レンズを交換しても同じ場所に影が出るアレです。それはイメージセンサー(撮像素子)に付着したゴミである可能性が高いです。
今回は、実際にセンサーに付着したしつこいゴミを掃除するプロセスを、12のステップに分けて解説します。
[!WARNING] イメージセンサーはカメラの心臓部であり、非常に繊細なパーツです。自分でクリーニングを行う場合は、必ず自己責任のもと、慎重に作業を行ってください。不安な場合は無理をぜず、メーカーのサポート窓口や専門店の清掃サービスを利用することをお勧めします。
1. 撮影した画像に変な影がある
下の写真に、ぼんやりとした黒い影(赤丸の部分)が写り込んでいるのがわかりますか?
撮影条件としては、F16、SS1/250、ISO800で撮影しています。(この影は、F値が大きいほどはっきり写ります。)
▲撮影画像:床の部分に丸い影がいくつも確認できます
レンズの前面や後玉を確認し、綺麗に掃除した状態ですが、何度テスト撮影を行っても、レンズを変えても同じ位置に影が現れます。こうなると、原因はレンズではなくカメラ内部のセンサー汚れの可能性が高くなります。
2. ほんとにセンサー?かどうかをチェックする方法
本当にセンサーにゴミがついているかどうか、以下の手順でチェックしてみます。
- 撮影モードを「絞り優先(Av/A)」にする
- 絞り値(F値)を最大近く(F16〜F22程度)に絞り込む
- ISO感度を最低(ISO 100など)に設定する
- 明るくて均一な白い壁や紙、または液晶ディスプレイの白い画面などを撮影する
- この際、ピントはわざと大きく外した状態(MFにして最短撮影距離や無限遠にするなど)にして、壁の模様などが写らないようにします。手ブレをわざと起こしながらシャッターを切るのも有効です。(私は部屋の照明をアップで撮りました笑)
- 撮影した画像をPCなどの大画面で拡大(等倍表示)して確認する
この方法で撮影した結果がこちら。
いや、めっちゃ埃ついてる(>_<) 思い当たる節は、、、ある汗
▲F16まで絞り込んで白い背景を撮影。ゴミを見えやすくするため現像してます。全体的にゴミが写り込んでいます。
F値(絞り)を大きく絞り込むことで、センサーのすぐ手前にあるゴミの影がシャープになり、目立つようになります。これで「センサーの汚れ」であることが確認できました。
3. センサーをブロワーで掃除
センサーに付着したホコリを取るため、まずは最も安全で基本的な方法である「ブロワーによる清掃」を試みます。
ブロワー清掃の手順
- バッテリー残量が十分にあることを確認する(途中でシャッターが閉まると危険なため)。
- レンズを取り外す。
- カメラのメニューから「手動センサークリーニング」等の項目を選び、ミラーアップやシャッター幕を開放させてセンサーを露出させる(ミラーレスカメラの場合は電源OFFで露出する機種もあります)。
- カメラのマウント(レンズ取り付け口)を真下に向ける。重力でゴミが下に落ちるようにするためです。
- ブロワーの先端がセンサーやシャッター幕に絶対に触れないように注意しながら、下から上に向けて空気を数回吹き付けます。
4. ブロワー後に再チェック(ゴミは取れたか?)
ブロワーでの清掃後、再びステップ2と同じ条件(F22絞り込み・白背景)でテスト撮影を行い、ゴミが除去できたか確認します。
▲ブロワー清掃後の確認。いくつか小さなホコリは吹き飛びましたが、しつこいゴミは残っています
残念ながら、ブロワーだけでは頑固な粘着性のある汚れ(油分を含んだ塵や、静電気で張り付いたゴミ)は落とせないようです。
5. メーカー?自分でクリーニング?
ブロワーで取れないゴミがある場合、次のステップとして「メーカーのサービスセンターに清掃を依頼する」か、「自分でクリーニングする」かを選ぶ必要があります。
- メーカー・専門店の清掃サービス:
- メリット:安全・確実で、万が一の故障時もメーカーが対応してくれるため最も安心です。
- デメリット:費用がかかり、持ち込みや郵送のためにカメラを数日〜数週間預ける必要があります。
- 自分でクリーニングする:
- メリット:専用キットを購入すれば自宅で数分で完了し、コストも低く抑えられます。
- デメリット:すべて自己責任。やり方を誤るとセンサーを傷つけるリスクがあります。
6. 自分でクリーニングする場合(自己責任)
自分でクリーニングを行うと決めた場合、以下の点を徹底する必要があります。
[!CAUTION] 絶対に守るべき注意事項
- センサー表面は極めて繊細です。少しでも不安がある場合は無理をせず、メーカーに依頼してください。
- 一般の綿棒やティッシュ、市販のアルコールなどは繊維残りやシミの原因になるため絶対に使用しないでください。
- 作業中にセンサーに強い力をかけないでください。
7. 私が使っているクリーニングキット
自分で安全にクリーニングするために、カメラのイメージセンサー専用に設計されたクリーニングキットを使用します。
私が使っているのは、このクリーニングキット。センサーサイズに合わせた幅のスワブ(今回はフルサイズ用)が個別に真空パックされており、チリの混入を防ぐ設計になっています。また、アルコール不使用の専用クリーニング液がセットになっており、安全に清掃できます。
8. クリーニングを行う
準備が整ったら、以下の手順でスワブ清掃を行います。
- 環境の準備:できるだけ風やホコリの少ない部屋で行います。
- 事前ブロワー:スワブでこする前に、必ずもう一度ブロワーで大きなチリを吹き飛ばします(硬いゴミが残っていると傷の原因になります)。
- 液の塗布:真空パックからスワブを取り出し、先端にクリーニング液を1〜2滴だけ垂らします。付けすぎるとセンサー上に拭き跡が残るので注意してください。
- 10秒ほど待つ:クリーニング液が馴染むのを10秒くらい待ちます。
- 優しく拭く:スワブを約60度の角度でセンサーに軽くあて、端から端まで一定のスピードと力で一方向にスライドさせます。
- 裏返して折り返す:スワブを裏返し、今度は逆方向に一度だけ滑らせて拭き取ります。
- 注意:同じスワブの面で二度拭きをしてはいけません。スワブは一度きりの使い捨てです。
9. もう一度2の撮影を行って確認
スワブでの清掃が1回終わったところで、再度ステップ2の条件でテスト撮影を行います。
▲1回目のスワブ清掃後の確認。大部分は綺麗になりましたが、まだ小さなゴミが残っています。さらに、拭きムラで新たな汚れが汗
多くの汚れは取れましたが、まだしつこい微細なゴミと新たな汚れが残っていることが確認できました。
10. まだゴミがついているので、8を実行
ゴミがまだ残っているため、再度スワブ清掃を行います。 先ほど使用したスワブは一度センサーを拭いて汚れているため、必ず新しい未開封のスワブを開封し、クリーニング液を1滴垂らしてステップ8の手順を繰り返します。
絶対に同じスワブを使い回さないようにしてください。
11. 2の撮影を行って確認
2回目のスワブ清掃を終えたら、三度目のテスト撮影を行います。
▲2回目のスワブ清掃後の確認。ゴミが綺麗に消えました
拡大して隅々まで確認しましたが、ゴミの影はほぼ完全に消え去り、極めて綺麗な状態になりました。
12. 完了!
これで無事にイメージセンサーのクリーニングが完了しました!
自分で専用キットを使うことで、メーカーに預けることなく短時間でクリアなセンサーを取り戻すことができました。 日頃からレンズ交換時にはカメラを下に向けるなど、ゴミを侵入させないように気を配りつつ、定期的なメンテナンスを行いましょう。 自分でやるのがどうしても不安な場合は、迷わずメーカーの清掃サービスを利用してください。